ツユクサ 早朝、斜めにさす光線を受けて輝く朝露をのせたツユクサの透明なコバルトブルーの花びらにはハッとさせられます。 真綿色したシクラメンほど清しいものはないという歌詞がありましたよね。私はそれを朝露に濡れたツユクサと云い変えたいと常々思っておりました。 野にあって清しい朝のツユクサをいつもの悪い癖でそっと根っこから引き抜いて、連れて帰ったのは去年の夏の盛りでありました。もちろんプランターに植えました。 それまで私はツユクサと云うのは地下茎で繁殖していくものと思っていました。宿根草だと思い込んでいたのです。 ところが彼は、いや彼女たちかもしれませんが、種による繁殖だったのです。 花後に簡単に種子が出来、土の上にこぼれます。花と種がほとんど同時って感じなんですねぇ。この繁殖力には驚きです。 そのままにしておくと、次の年の春にはプランターいっぱいにびっしり芽を出しました。 間引くのがもう大変です。押し合い圧し合い状態になりました。清しいなんて言ってられる状態じゃありません。 野草のたくましさとはこういうことなんだと感じ入っている間もなく、どんどん伸びて、ゆうに1メートル以上になりました。 プランターを置いた場所は西北向きにある裏の透明ガラスのはまった二枚の引き戸のすぐ向こうです。西北向きですから冬の西日はぐっと 西寄りで早くに日が沈みますから日よけのすだれはありません。けれども夏には強い西日がまっすぐに部屋の中まで入ってきます。 そこで夏限定で透明ガラスの三分の二くらいまでの長さのすだれをつるします。下三分の一は透明ガラスのままです。 清しいはずのツユクサはこの下の部分をすべて緑の葉で覆い尽くすまでになりました。 ときどきノラ猫が熱い西日を避けてここで避暑をしていて、ツユクサのジャングルを背に白と黒の二匹の猫が、ガラス戸の向こうから 部屋をのぞきこんで私を観察していたりもします。幻想的な絵本の世界の出現です。 そんなですから、あのコバルトブルーの花はというとジャングルのてっぺんにちらほらという具合で、まるで広場で踊る足だけ長い 背高のっぽのピエロのようです。こんなに繁茂しても花の大きさは変わりません。当然ですよね。 野草はやはり野におけということでしょうか。 そんなわけで部屋の中から大好きなツユクサを楽しむ計画は、少々むなしいものになりましたが、日よけの役目は立派に果たし、 野良ネコちゃん達の避暑地兼緑のエコすだれにはなりました。 やはり来年もこのプランターでツユクサ育てよう。なんとか背丈を縮めることはできないものだろうかと懲りずに思う私です。 2015.7.18 |